世界最高の精細度を実現した直視型TFTカラー液晶ディスプレイの開発
1999年08月10日
日本電気株式会社
24cm(9.4型)超高精細TFTカラー液晶ディスプレイ
NECはこのたび、印刷物あるいは写真印画紙に迫る高度な表示品位を実現した、超高精細の24cm(9.4型)アモルファスシリコンTFTフルカラー液晶ディスプレイモジュールとその製造技術を開発いたしました。今後、2000年末をめどに、今回開発した超高精細品の製品化を進めてまいります。
新開発品は、TFTガラス基板上にカラーフィルタを形成する(COT; Color filter On TFT)新しい製造技術を確立したことにより、
- これまで発表されている直視型TFTカラー液晶ディスプレイの中で最高精細度の211ppi(pixels per inch)を実現し、対角24cm(9.4型)の中に1600×1200=192万という大容量画素を詰め込んでいること
- 従来の一般的なノートパソコンやモニタ用TFTカラー液晶ディスプレイモジュールに比べ、画素の面積が5分の1以下と微細なため、表示パターンの輪郭を非常に滑らかに表現できること
などの特長を有し、NECが既に確立している独自のアナログ信号処理方式によるフルカラー表示と合わせ、写真印画紙の表現力に迫る表示性能を実現しております。
電子ディスプレイの本質的な表示性能指標は、表示画面をいかに細かい点(画素)に細分するか、さらにその個々の点においていかに奥深い色表現を実現できるか、に依存します。
大型TFTカラー液晶ディスプレイは、その薄型・軽量・低消費電力の特長を生かしたノートパソコンへの応用に始まり、大型化・大容量化はもとより、高輝度化や多階調化、色度域拡大等の色表現能力、さらには視野角の改善を進め、昨今では単体モニタや省スペースデスクトップパソコンのバンドルモニタとして急速に普及が進んでおります。しかし、これら従来の直視型液晶ディスプレイの精細度は80-100ppi程度あるいはそれ以下が一般的であり、人間の視覚分解能を上回るため、印刷物の細かな文字、あるいは写真等の微細な輪郭部分を滑らかに表現する表現力は十分なものとは言えませんでした。
NECはこれら従来の液晶ディスプレイはもちろんのこと、CRTをも含む既存の電子ディスプレイの精細度を遙かに凌駕し、印刷あるいは写真印画紙に迫る超高精細表示の実現を目標にして超高精細液晶ディスプレイの研究開発を進めてきており、昨年既に177ppiの29cm(11.3型)1600×1200=192万画素品を開発しております。
今回はそれを上回り、従来製品の2倍以上の超高精細度を実現したうえ、低消費電力特性との両立に必要な50%を越える高開口率達成したものであります。
この200ppiを超える超高精細度と高い開口率の両立のため、フォトリソグラフィをベースにしたTFTの高精度加工プロセスをカラーフィルタ形成にも連続適用し、TFTガラス基板上にカラーフィルタを作り込む新たな製造技術を確立いたしました。
今回開発したクラスの超高精細品は、TFT液晶ならではの、全く新しい電子ディスプレイ応用市場を拓くものであります。昨今、200万画素を超えるデジタルスチルカメラが急速に普及しておりますが、その画像をほぼそのままの品質で鑑賞することができる写真ビューワなどは、先端的な応用例のひとつと考えられます。また、電子ブック、医療機器のモニタ等も新しい応用として期待しております。
新開発品の主な仕様は別紙をご参照下さい。
なお、新開発品に関する詳細な技術報告は、9月6~9日に開催されるユーロディスプレイ'99で発表する予定であります。
以 上
プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。