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Adobe®RGBの広い色再現領域をカバーする白色LEDバックライト搭載液晶ディスプレイモジュールを開発

報道関係各位
2009年5月29日
日本電気株式会社
NEC液晶テクノロジー株式会社社

「NL12876BC26-28」

NEC液晶テクノロジー(代表取締役社長:上野 敏彦、本社:神奈川県川崎市)はこのたび、バックライトの光源に新開発の白色LEDを採用することによって、Adobe®RGB(注1)の広い色再現領域をカバーする、アモルファスシリコンTFTカラー液晶ディスプレイモジュールを開発しました。
本開発品のバックライト光源に採用されている白色LEDは、近紫外線(注2)LEDチップの光を、R,G,B三原色の蛍光体に照射して発光させ(励起)、それらの光を混ぜることで白色光を実現するもので、従来の白色LEDに比べて演色性(注3)に優れています。また、本開発品は、新開発の白色LEDと、これに合わせて最適化された新開発のカラーフィルタを組み合わせることによって、従来の白色LEDでは実現できなかったAdobe®RGBをカバーする広い色再現領域を可能にしています。

近年、白色LEDをバックライトの光源に用いた液晶ディスプレイへのニーズが高まっています。これは、白色LEDが、現在バックライト光源の主流であるCCFL(冷陰極管)に比べて、小型化・軽量化・省電力化設計の点で有利であること、水銀を含まないこと、高圧回路が不要であるため安全設計の負荷や高調波電流・高周波ノイズ発生の懸念が軽減されること、振動や衝撃に対する耐性に優れていること、低温起動性や調光範囲の広さの点で優れていることなど、さまざまなメリットを有することによるものです。
しかし、色再現性においては、現在バックライト光源として用いられている白色LEDの多くは、CCFLと比べて十分ではありません。これは、現在主流となっている白色LEDが、青色LEDチップによって、その補色にあたる黄色の蛍光体を励起することで白色光を実現しているため、CCFLに比べて赤や緑の波長成分が乏しいことに起因するものです。このため、従来の白色LEDをバックライトの光源に採用した場合、広色度域タイプのカラーフィルタと組み合わせても、赤や緑の再現範囲を拡大するのに限界があり、Adobe®RGBの色再現領域までカバーすることは困難でした。
このたびの開発品は、これらの課題を解決し、従来の白色LEDでは困難だった超広色度域対応を実現したものです。

なお、LEDをバックライト光源に用いてAdobe®RGBの色再現領域を確保する方法としては、白色LEDの代わりにR,G,B三原色のLEDを組み合わせる方法もあり、当社が2005年3月に製品化した21.3型TFTカラー液晶ディスプレイモジュール「NL160120BC27-10」で実用化しています。

当社は、本開発品で採用した技術を、超広色度域の実現方法の一つとして、今後も研究・開発を重ねていきます。超広色度域を実現する製品を開発する際には、適用する製品のサイズや用途などに応じて最適な方法を採択し、最適なソリューションを提供いたします。

当社はこのたびの新製品を5月31日~6月5日にヘンリー B.ゴメス コンベンションセンター(北米・テキサス州サンアントニオ)で開催される「SID2009」のExhibition(6月2日~4日)に出展します。

開発品の仕様は、別紙をご参照下さい。

注1: 米Adobe Systems社が提唱した、コンピュータ上でカラーを扱う際の色空間(色再現領域)の定義の一つ。印刷やデザイン、DTP(デスクトップパブリッシング)などのプロフェッショナル分野でスタンダードとなっている。
注2: 紫外線(10~400nm)の中でも約300~400nmと波長が長く、可視光線の領域に近いもの。
注3: 光源として物体を照らした際、物体の色の見え方に及ぼす影響。自然光を基準とし、これに近いほど演色性が高いとされる。

以 上

プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。